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考察

考察

2013年、DSM-5に新たに成人期ADHDの診断基準が設けられた。DSM-5でも、臨床医の間でも、一般社会でも、成人期ADHDは小児期ADHDと同じ小児期発症の神経発達障害であるされているが、それは本当だろうか、という疑問に答えるため、本研究がある。小児期ADHDについて経過観察した先行研究と同様に、本研究でも、小児期ADHD群は30代の生活適応に対しては困難が持続する傾向が認められた。また、成人期ADHDについての先行調査と同様に、本研究でも、成人期ADHD患者の障害には臨床介入が必要であるという数多くの根拠が認められた。しかし、本研究におけるフォローバック解析により、成人期の症候群は小児期発症の神経発達障害の延長線上にあるものではないことが明らかとなった。DSM-5で成人期ADHDと診断された症例の小児期について前向きにフォローバックした研究は、本研究が初めてである。従って、更なる研究の中で評価される必要がある。

本研究デザイン上の利点

40年間に渡るコホート研究でフォローフォワード解析とフォローバック解析の両方を行い、ADHD群の確認に紹介受診バイアスや治療バイアスは関与しなかった。また、参加者の訴えを独立した情報源(親・教師・その他の情報提供者、正式な認知機能検査、行政記録)で補足した。

本研究の限界

・事前に仮説を立てなかったため、他の研究による再現が不可欠である。
・小児期ADHD診断は当時のDSM最新版(DSM-III)を用いて行われた。
・DSM-III-RではADHDは小児期のみの障害であると考えられていたため、本研究では20代におけるADHD評価は行われなかった。従って、小児期ADHD群における症状の減少や成人期ADHD群における症状の出現を追跡することは不可能。
・本研究の成人期ADHD群が少ないため、検討に限界がある。しかし、効果量が有意でないのは少なかったためで、検出力の欠如は有意差の欠如が原因ではなかったことが示唆される。
・パーソナリティ障害の確認は行われなかった。
・神経発達仮説を検証する神経画像データが欠如していた。

小児期ADHD群について

小児ADHD群の有病率は6%で、その大半は男児であった。また、小児期ADHD群は、特に行為障害と不安障害を併存していた。また3歳時に早くも神経認知機能障害を呈し、認知機能検査の成績が低く、神経発達障害としてのADHDの概念化と一致した。38歳時の小児期ADHD群についても、小児期ADHD患者の成人期を経過観察した先行研究の予想と一致した。3例を除く全員がADHD診断基準を満たしていなかった。
小児期ADHD群が成人の診断閾値以下症状(閾値以下ではあるが比較的高得点)を有するようなことはなかった。ADHD診断率は減少したが、神経発達障害としてのADHDの特徴である神経心理学的障害は持続した。そのため、大学の学位の取得者は稀で、経済的にも苦労していた。大半の患者がPTSD、自殺未遂、傷害関連の保険請求、成人期における刑事上の有罪判決などを経験していた。この元ADHD群の者は、ADHD症状について、成人期の生活に未だ軽度に障害を及ぼすものと評価した。

成人期ADHD群について

ダニーデン・コホートの成人期ADHD群は、本研究の面接でDSM-5の診断基準A(不注意または多動性/衝動性に関する症状が5つ以上)を満たし、情報提供者の報告により基準C(2つ以上の状況)を満たし、さらに生活障害の訴えが基準D(活動の障害)を満たした。
成人期ADHD有病率は約3%で、ほぼ性差はなかった。これは先行調査とも一致する。しかし、予想に反して、成人期ADHDと定義されたものが小児期発症の神経発達障害であるという根拠を見つけることはできなかった。
まず初めに、女性の有病率が高く、小児期のADHDとは異なること。
第2に、成人期ADHD患者のほとんどが小児期ADHDを有していないことが明らかとなった。さらに、成人期ADHD群では、小児期に診断閾値以下症状(閾値以下ではあるが比較的高得点)も有していなかった。
第3に、最も驚くべきことに、成人期ADHD群では小児期に、ADHDの神経発達障害としての特徴である神経心理学的障害が認められなかった。
(( 例えば、WISC-RのIQ平均点は、母集団基準100点を僅かに2点下回っただけであった。38歳の再検査時におけるWAIS-IVのIQ平均点は、基準より3点低かった。また、一般的にADHD症例の主要欠損であると考えられているWAIS-IVのワーキングメモリ指標や注意覚醒の持続処理課題についても、対照群との間に有意差は認められなかった。成人期ADHD群は、検査では神経心理学的障害が認められなかったものの、例えば、店に何を買いに来たか忘れた、テレビやラジオが付いていると思考できない、言葉を見つけるのが難しいなど、本研究の面接で認知的な問題を訴えることが多かった。))

治療の必要性について

本研究により、成人期ADHDは小児期ADHDと同一の障害ではない可能性が示唆される。しかしこれは、ADHD症状を呈する成人に治療は必要ないということを意味するものではない。ADHD症状による生活機能障害に治療が必要であるということは、傷害関連の保険請求、低い信用といった公式記録によっても裏付けられる。治療の必要性は、不満足、日常的な認知機能問題、金銭トラブル、不適切な貯蓄行動によって生活が損なわれがちであるという成人の患者自身の訴えによっても示唆される。また、成人期ADHD患者は、自分自身はまとまりがないために時間を無駄にし、潜在力を発揮できず、疲労困憊あるいは他人を疲れさせ、何かをし過ぎて事故を起こし、前の車両にぴったりつけて走ったりスピードを出したりすることで危険を冒していると思っている。
興味深いことに、70%の症例が20~30代に精神科治療受診したことを報告している。このように、彼らは専門家を受診したにもかかわらず、ADHD治療は受けていない。methylphenidateまたはatomoxetineによる治療を受けたのは、僅か13%であった。

さいごに…診断の可能性について

残る疑問は、これらの成人がADHDの神経発達障害を有していないのであれば、何を有しているのかということである。認知症の前駆症状について調べるには、38歳時のデータでは若すぎる。詐病の可能性については、今回の参加者に報告を捏造する動機は見当たらないため却下。
2番目の可能性は、別の障害の方が症状と障害をよりよく説明できる可能性があるため、ADHDと診断されるべきではないというものである。21~38歳でうつや不安の割合が高いということはなかったが、これらの成人の半数近くで物質依存が持続することは明らかである。しかし物質乱用がADHD症状を引き起こすのか、成人期ADHD症状が物質乱用に先立つのか、本研究ではこの疑問に答えることはできない。
3つ目の興味深い可能性は、成人期ADHDが不幸にもADHDの神経発達障害と取り違えられてきた本物の障害であるということである。これは、その表面的な類似性と誤った命名によるものである。これは、症状のみに基づいた診断システムの表面的妥当性に過度に依存した欠点をよく表していると思われる。 今回、成人期ADHDが小児期に発症するという根拠はほとんど認められなかった。成人期ADHDの小児期発症について記録するのは非常に困難であるとされており、それは小児期発症ADHDが存在したものの患者自身が覚えていないと解釈されている。本研究では、成人期発症型のADHDが存在するという対立する説が示唆され、もしこの説が他の研究でも支持されれば、DSMにおける成人期ADHDの位置付けについて再考する必要性が生じる可能性がある。
この研究により、DSM-5の成人期ADHDで病因の特徴の核となっている神経心理学的機能障害には、ほとんど根拠がないことが明らかとなった。他の研究でも遺伝性の違いを含め、小児期ADHDと成人期ADHDの様々な病因が発見されている。また、小児期ADHDに関連する多遺伝子リスクが、成人期ADHDを特徴付けないことも明らかとなった。残念ながら、成人期ADHDは小児期ADHDと同一でその原因については既に研究されているという仮定により、成人期ADHDの病因研究は中々進まないようである。成人期ADHD群の大半で小児期発症の神経発達異常が認められなかったという本研究結果が他の研究でも実証された場合は、成人期ADHDの病因を探す必要がある。

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