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薬物療法

パニック障害・パニック症治療
特に自動車運転、機械操作との関連で

薬物療法

パニック症、パニック障害の第一選択薬として、多くの研究、ガイドラインがSSRIかSNRIをあげています。自動車運転や工場で何らかの機械の操作をされる場合、多くの薬剤が添付文書で服薬中の自動車運転を禁止しており、「十分に注意をしながら」ではありますが、自動車運転、機械操作も可能なSSRIかSNRIが選択されます。

1. ベンゾジアゼピン系抗不安薬

デパス、ソラナックス、コンスタン、ワイパックスといったベンゾジアゼピン系抗不安薬は用量依存性に視覚、スピード感覚、情報処理、反応時間、記憶、注意力の減弱が認められます11)。ですので、服用しての自動車運転は事故につながります。危険性を示す疫学的なデータが数多くあります。1992年から1995年までの英国テイサイドの国民保険サービス記録と警察事故記録を検討した結果、ベンゾジアゼピン系抗不安薬を服用している方の事故率は1.62倍(オッズ比)と統計学的に関連していましたが、SSRI服用では0.85倍と事故率とは関係ありませんでした12)。2004~2005年にノルウェーの一般人口を対象とした研究では、ベンゾジアゼピン系睡眠薬を服用されていると自動車事故の発生率(standard incident ratio)は3.3倍に、ベンゾジアゼピン系抗不安薬を服用されていると2.9倍に増えました13)。2000年から2009年までの台湾の健康保健記録を用い、その期間に交通事故を起こした5183名と対照群31093名を比較した結果、ベンゾジアゼピン系抗不安薬を服用された場合事故は1.78倍(オッズ比)で、短時間型で1.76倍、長時間型で2.22倍と長時間型でより事故率が高くなっています14)。

さらに、依存性も懸念されます。そのようななか、厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課は2017年3月21日にベンゾジアゼピン系の医薬品の使用上の注意を「連用により薬物依存を生じることがあので、漫然した継続投与連用による長期使用を避けること。本剤の投与継続する場合には、治療上必要性を十分に検討すること」と改訂するように指示しています15)。

このような問題点ばかりをあげましたが、身体的な副作用を起こすことはまずなく、安全性は基本的に高いものです。また即効性があることから、パニック発作を起こしている急性期治療では、他に代えがたい面があるのも事実です。オーストラリアでは、パニック症・パニック障害へのアルプラゾラム処方が増加しているとさえ報告されています16)。そこでパニック発作が頻発している急性期に限って処方し、その後は、理由をよく説明して漸減、中止してゆきます。また、自動車運転や機械操作のときには、服用しないように指導します。

2. SSRI、SNRIなどの抗うつ薬

日本では、SSRIとしてフルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、エスシタロプラム、SNRIとしてミルナシプラン、デュロキセチン、ベンラファキシンSRが処方可能です。そのなかの、パロキセチン、セルトラリンの両剤が日本で「パニック障害」の適応を習得しています。米国Food and Drug Administration(FDA)はパロキセチン、セルトラリン、ベンラファキシンERのパニック症・パニック障害への適応を認可しています。これらフルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、エスシタロプラムといったSSRIやベンラファキシンのうちどの薬剤がパニック症・パニック障害治療に優れているかについての十分な研究データはなく17, 6)、医師と患者さんが相談して決めることになります。また三環系抗うつ薬もパニック症・パニック障害治療に有効との研究がありますが、口渇、便秘といった副作用が強く、今ではあまり使用されません。自動車運転や機械操作をされる場合も、添付文書で禁止されていることを考慮しますと、三環系抗うつ薬服用は適切ではありません。難治性パニック症・パニック障害に、オランザピンやアリピプラゾールによる増強療法が有効と報告されています18)。ですが自動車運転や機械操作を伴う場合、これらの服用は適切ではありません。

SSRI・SNRI初期用量はなるべく少量から始めます。パニック障害・パニック症では「神経過敏」な方が多く、服用開始直後の悪心・嘔吐には十分に注意し、患者さんがお望みの場合、ドンペリドンなどの制吐剤の予防投与も行います。3~7日後に増量し、毎週かそれ以上の期間をかけてゆっくりと増量し、パニック発作だけではなく、予期不安や行動・認知が回復してくるかどうかを目標に投与量をどうするか考えます。

自動車運転・機械操作を伴う場合、SSRIやSNRIは運転技能に対する影響がないとされています19, 20)。ですが、添付文書に「自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること」と記載されていますので、無視することはできません。そこで、抗うつ薬開始直後、また増量直後には一定のリスクがある14)と考えて対応します。日本精神経学会がガイドラインを示していますので3)、ご紹介します。ガイドラインには、(1)一般に眠気やめまい等を含む患者の状態に関して、取り分け処方開始時や増量時は、注意を払う、(2)患者が服用中に運転する際は、眠気やめまい等が認められないことを確認する、(3)患者に、眠気やめまいを含む体調不良等を感じた場合は、運転等を絶対に行わないよう指導することを徹底する、(4)不適切な多剤併用処方は、運転等に与える薬剤の影響を予測することが困難になる可能性が高いので避ける、などと書かれています。

パニック症・パニック障害で、どれぐらい薬物療法を続けるべきかを十分に示している研究はありません。でも長期的な視点からの治療が必要です。ですので、半年、年単位での治療を考慮します6)。さらに、パニック障害・パニック症・パニック障害発症に絡んで、何らかのストレスが先行していることがほとんどです。それが会社であるのか、家庭であるのか、その人ご自身のパーソナリティによるのか、個別の症例によって異なります。それが解決する前に服用を中止すると、すぐにパニック発作再発を引き起こすことになります。ただ単に薬物療法を行うだけではなく、それらストレス源となっていることにどう対処するかを患者さんと共に考え、工夫することが重要です。

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院長がVTR出演しました

関西テレビ
「スーパーニュースアンカー」にて
社会不安障害について説明いたしました。 (2015/01/19放送)

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