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その1 / 従来にないうつ病の出現。症候学的変化

現代のうつ病治療

その1 / 従来にないうつ病の出現。症候学的変化

 最近、学問的ではありませんが、俗語としての「現代型うつ(病)」が話題になることが多くなりました。どうしても学問的ではありませんので、定義があるわけではありませんが、性格が未熟、他罰的、仕事では抑うつ的、仕事を離れると元気にあふれる、というのがだいたいのところだと思われます。この様に書きますと、本稿もうつ病の患者さんに対して批判的な立場をとっていると思われるかもしれませんが、違います。『その2、「生きにくさ」とリスク社会』で述べるように、リスク社会の生きにくさのために、追い詰められている現実があり、それは社会全体の問題であり、彼(彼女)個人の責任に帰することができないのです。

 しかし、「うつ病」のなかでも「病気」に分類される方々に限っても、その症候学的変化を無視することはできません。1990年以降になり、その様なうつ病の症候学的な変化が明らかになるにつれ、精神病理学者達は、「現代型うつ病」(松浪,1991)、「未熟型うつ病」(阿部,1995)を提唱しました。しかし、このような概念の必要性を多くの精神科医が切実に感じだしたのは2000年を越えてからです。それは自殺者が3万人を超えたのと時期が一致します。それにちょうど駒を合わせるかのごとく樽味伸が「ディスチミア親和型」(樽味,2005)を提唱し、多くの臨床家の共感を得ました。今までになく、多くのうつ病患者が来院するようになり、その病前性格、症候学的(うつ病症状の内容)、薬物療法への反応がそれまで臨床家が慣れ親しんだ従来のうつ病のものと(これをメランコリー親和型といいます)と全く違っていたからです。それを樽味は“ディスチミア親和型”または“ディスチミア親和型うつ病”と名付け、病前性格(病気になる前の性格)を「自己自身への愛着」「規範に対してストレスであると抵抗する」と、症候学(うつ病の具体的な症状)を「不全感と倦怠」「回避と多罰的感情」「衝動的な自傷、一方で“軽やかな”自殺企図」とまとめ、『どこまでが「生き方」でどこからが「症状経過」か不分明』としました。さらには、先に述べたとおり薬物療法を「対症的なものに過ぎないけれど“下地”としてはあってもよい」という位置づけにしています。多くの臨床家にとって、うつ病治療の基本であった薬物療法と休息療法、そして養生の仕方を患者側に立って説明する小精神療法が奏功しないとすればどうすればよいのか、その治療法は手探りでありました。この様に一時代前と全く異なる症候に対する臨床家の戸惑いはそう簡単に片付けられるものではありませんでした。

 その様な実態を裏付けものとして、うつ病に対して米国で行われた大規模で、階層化されたアルゴリズムの実証的検討研究STAR*Dの結果を上げることができます。そのプロトコールは、4層(レベル1から4と表されています)となっております。そして、その各レベルごとに、薬物療法や認知行動療法が設定され、十分な用量と期間(3ヶ月間)実施されてもうつ病が寛解に至らなかった場合、次のレベルに移ります(その研究で使用されたSertralineセルトラリン、Mirtazapine ミルタザピン、Noriptylineノルトリプチリン、Lithium炭酸リチウム、T3トリヨードサイロニンは日本でも認可されていますが、Bupropion SR、Buspirone、Venlafaxine XR、Tranylcypromineは2013年現在、日本未発売です)。それはそれとして、レベル1では、まず全員を対象としてシタロプラム(日本では少し違ったエスシタロプラムが発売されています)が十分な期間、十分な用量を服用してもらいましたが、なんと27.5%の人しか有効(寛解に至ったパーセンテージです)ではありませんでした。

 なぜ、そんなに少数の人にしか有効でなかったのでしょうか。それには、米国での状況を理解する必要があります。米国のうつ病臨床の実際の臨床に近づけるために、新聞広告などによる研究参加者を集めませんでした。米国は国民皆保険でありませんので、研究によって無料で治療を受けられる機会は重要です。その様なバイアスを避けるため、プライマリケアを受診した方々に研究参加を呼びかけました。さらに主診断がうつ病で、その他の研究参加条件は緩やかにしました。その結果、参加者の多くが精神科合併症(これを併存症と呼びます)を有していました。主なものを高いものから順に紹介しますと、31.3.%の方が社交不安障害(SAD)、23.6%の方が全般性不安障害、20.6%の方が心的外傷後ストレス障害、14.3%の方が強迫性障害、13.1%の方がパニック障害、13%の方が神経性大食症(過食症)、12%の方がアルコール関連問題を、うつ病に加えて併存症として有してられました。実に2/3の方が、何らかの精神科併存症を有してられました。さらには、研究参加者のほぼ40%近くの方のうつ病の発症が18歳未満でした。そう、高校生からずっとうつ病という、米国のうつ病の実態をどう思われますか? 日本が米国と同じ状況になるとは決まっていません。でも、皆様が実感されているとおり、後を追っていっているのは確実です。

その2.「生きにくさ」とリスク社会

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社会不安障害について説明いたしました。 (2015/01/19放送)

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