CRAFT (Community Reinforcement and Family Training)
コミュニテイの強化と家族の練習
アルコール・薬物患者が、問題を否認し、治療を拒否するのは一般的です。かといって直面化的アプローチ(具体的には、叱りつける、脅かす)では追い詰めるだけで、なかなか受診しません。そこで安易に助けず、底つき(hitting the bottom)という袋小路状態に至るまで、突き放すことが重要だとされてきました。それしか方法はないのでしょうか。このような厳しい方法に代わり、動機づけ面接やCRAFT (Community Reinforcement and Family Training )のようなもっとソフトな介入の有効性が報告されるようになりました。
行動療法は「先行条件」「オペラント行動」「短期的効果」「長期的効果」といった一連の流れのなかで「短期的効果」としての「罰」があったとしても「長期的効果」による「強化」によって、より望ましい行動を得ようとするものです。CRAFTでは、家族が治療者から「しらふの行動を強化することで飲酒や薬物使用をしなう方向に勧める」、「肯定的なコミュニケーション」、「その場に応じた問題解決法を用いる」、「家族自身のニーズに応える」そして「患者に治療を提案する」ことを学びます。米国での報告では、家族が治療者からこのようなCRAFT療法を受けた結果、治療を拒否していた患者の64から86%もが受診に至ったのです。
また、日本では、ひきこもりの若者の家族がCRAFT療法によって「問題行動の理解し」、「暴力的行動を予防し」、「ポジティブなコミュニケーシヨンスキルを獲得して」、「上手にほめて望ましい行動を増やし」、「先回りをやめ、しっかりと向き合って望ましくない行動を減らし」、「家族自身の生活を豊かにし」、「相談機関の利用、治療施設の受診を上手に勧める」ことを学び、改善に結びつける試みがされています。
本院では摂食障害やひきこもりのご家族を対象にCRAFT治療経験豊富な臨床心理士による心理療法を実施しております。