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その3 / 社交不安障害(SAD)の病像の変化

社交不安障害(Social Anxiety Disorder、SAD)の 概念の成立と変遷

その3 / 社交不安障害(SAD)の病像の変化

 このように社交不安障害(SAD)の概念の成立と変遷について説明してきましたが、その背景には、社交不安障害(SAD)患者の病像の変化があります。臨床的な実感としても、どんどんと全般性の社交不安障害(SAD)患者さんが受診をされるようになってきていると思います。そして、実際、これまで説明してきましたように社交恐怖、社交不安障害(SAD)、全般性社交不安障害(SAD)、社交不安障害(SAD)のみが受診する施設と、パフォーマンス限局型が受診する施設の2極化へ、大きく変化してきました。それは社交不安障害(SAD)の病像自身が変化した訳ではなく、治療者側の、どこまでを治療対象とするか次第で、どこまでを精神障害とするのかという線引きが大きく変わきたことによるのです。

 この臨床実感を実証するデータには乏しいのですが、傍証として北米で来院する社交不安障害(SAD)患者のパニック障害の併存率と非定型うつ病の併存率の変化を紹介します。

 上述のMarksらが社交恐怖と他の恐怖症との臨床症状の違いを報告したとき、社交恐怖は、いわゆるスピーチ恐怖症を初めとするパフォーマンス恐怖症でした。Liebowitzらはパニック障害をメインに不安障害の診療を行っていましたので、パニック障害のなかにパニックではなく人を恐れる一群、全般性の社交恐怖を見いだし、1985年に上述の総説を発表しました。その結果、1987年改訂のDSM-IIIRでは社交不安障害(SAD)に全般性の亜型を含めるようになりました。それから4年後の1991年にVan Ameringenらが不安障害専門外来を訪れた社交不安障害(SAD)の併存症を検討していますが、その実に96.5%が全般性で、全般性が治療対象になっている実態が反映されています。ですが、同時に49%もの症例がパニック障害の生涯診断を有していました。一方で、一般人口中では社交不安障害(SAD)がパニック障害を併存している率は低いのです。米国(U.S. National Comorbidity Survey, NCS)研究では社交不安障害(SAD)の生涯診断を有するもののうちパニック障害の生涯診断を有していたのは10.9%でした。

 このように不安障害外来にはパニック障害が多く来院していましたが、社交不安障害(SAD)の全般性の診断基準をもとに選択すると病像は全く異なります。社交不安障害(SAD)ではうつ病を併存(合併)することが多いのですが、全般性の社交不安障害(SAD)では非定型うつ病が多く63%で、限局型社交不安障害(SAD)の35%のほぼ倍でした(Mannuzzaら)。それが10年後に、同じグループのSchneierら(2003)がうつ病を併存する全般性の社交不安障害(SAD)を対象に研究を行ったとき、非定型うつ病はわずか14%でした。筆者の場合も、社交不安障害(SAD)を対象として治療を行っていると、社交不安障害(SAD)患者でのパニック障害の生涯併存率はわずか8%で、非定型うつ病の併存率も低いのです。

 社交不安障害(SAD)に、全般性の亜型が認められ四半世紀が経ちました。新しい診断基準を実際に運用してみると、全く異なった病像の患者が来院するようになったのです。そしてDSM-5では全般性の亜型が消えました。この様に、恐怖症から分離した直後でスピーチ恐怖症が中心であった時代(1980年代)、パニック障害診療中に全般性の社交不安障害(SAD)が見いだされた時代(1990年代)、診断基準が拡大した後に改めて一般人口や臨床例を対象として検討した時代(2000年以降の10年)で、社交不安障害(SAD)がその名称だけでなく内実も概念も大きく変わったのです。そしてDSM-5では、全般性の区別がなくなり、スピーチ恐怖症を初めとするパフォーマンス恐怖症の方が亜型として診断されることになりました。

その4 / パフォーマンス恐怖症

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