現代のうつ病治療
さいごに
このように、我々の生きている世界の息苦しさは、まさに生き苦しさへと進んで来ました。 大阪から東京に3時間で行けることは画期的でしたが、それから40年が経ち、携帯で、スマートホンで常に友人とつながっていることは、反対に私たちを孤独に追いやっています(このことも、また、どこかで説明します)。でも、診察室の中で、この時代の進み具合を逆回転することはできません。
まずは、休息療法と薬物療法によって冷静さを取り戻し、新しい生き方を見つける旅の再出発の準備をしましょう。
2013年5月24日 永田利彦
参考文献
樽味伸: 現代社会が生む“ディスチミア親和型” 臨床精神医学. 34: 687-694, 2005
Marra T: Depressed & anxious : the dialectical behavior therapy workbook for overcoming depression & anxiety. Oakland, CA: New Harbinger.; 2004 (永田利彦 監訳, 坂本律訳. うつと不安をのりこえるマインドフルネス – 人生を積極的に生きるためのDBT(弁証法的行動療法)セルフヘルプブック、明石書店 2011)
本稿は「永田利彦. 現代のうつ病治療 -不安と焦燥の時代のなかでの円滑な治療導入-. CNS drugs 25 Special Issue 1, 6-9, 2011」や「永田利彦. 現代のうつ病治療. 日本精神科救急学雑誌 12(May):15-18, 2009」などを元にホームページ用に再編したものです。